M&Aフォーラム賞

第10回M&Aフォーラム賞表彰式 

第10回M&Aフォーラム賞の表彰式は、9月28日(水)18:00から霞山会館「三彩の間」(千代田区、霞ヶ関コモンゲート西館37階)で行われました。

M&Aフォーラムは、設立10周年を昨年迎えましたが、設立後に募集を開始したM&Aフォーラム賞も、記念すべき10回目の節目の表彰式となります。
今回のM&Aフォーラム賞は、平成27年(2015年)度に発表された作品(書籍・論文)が応募、選考の対象でした。
応募いただきました作品数は、昨年と同じく11作品(書籍5、学術論文6)でした。M&A実務に関わる作品が7作品と最も多く、分野で見ると、法律、経済、経営、人事・労務、税務・会計、ファイナンスなどをテーマにそれぞれの観点で掘り下げた作品の応募がありました。
今回の特徴としては、M&Aに関する法制度や規制を俯瞰的に整理したもの、実務を進める上で有用とされる制度・システムの意義や機能を理論と実務の両面からアプローチした作品などの応募がありました。企業経営において一般化してきているM&Aですが、実務を進める上で、法制度・規制は複雑に絡み合い、さらにそれぞれ専門化・高度化が進んでいます。また、有効な制度・システムの利用も、実は企業の担当者が手探り状態で取り組んでいる実態も背景にあるものと思われます。
次に、応募された方のプロフィールでみると、研究者の方から5作品、法律等専門家の方が3作品、事業会社等民間の方から3作品でした。また、社会人を含む学生の方からの応募は3作品となっております。
お一人でまとめられた作品だけでなく、共著や所属の機関・グループ等のメンバーでとりまとめた作品もあり、応募いただきましたそれぞれの作品のレベルは、今までの作品に勝るとも劣らない、非常に優れたものでありました。

表彰式は、落合誠一M&Aフォーラム会長(東京大学名誉教授)からの挨拶からスタートしました。 落合会長挨拶
まず始めに、10回目となったM&Aフォーラム賞の表彰にあたり、「数多くの優れた作品を応募いただいたすべての応募者の皆様に対しまして、お礼を申し上げます。」とする言葉に続き、「10年という歴史ある顕彰制度を継続する上で、スポンサーであるレコフ社と、多忙な中で、難しい審査、選考の労を賜っている岩田一政選考委員長始め、3人の選考委員の方々にも感謝いたします。」と謝辞がありました。
さらに、「今回、見事に正賞、奨励賞、選考委員会特別賞に選ばれた受賞者の方々に、心からお祝い申し上げます。」と祝辞を述べられ、合わせて、お忙しい中で受賞式にお集まりいただいた皆様に対してもお礼の言葉が伝えられました。

落合会長の挨拶に続き、表彰状の贈呈へと移ります。 正賞三名表彰状贈呈
正賞となった書籍『M&Aにおける第三者委員会の理論と実務』から、表彰は始まりました。
同作品の共著者である白井正和様(同志社大学法学部 准教授)、仁科秀隆様(中村・角田・松本法律事務所 弁護士)、岡俊子様(株式会社岡&パートナーズ 代表取締役)の三人の皆様が揃って登壇され、落合会長が、白井様から順に表彰状を朗読、会場は満場の拍手で包まれました。

奨励賞2名 表彰状贈呈続いて、奨励賞を受賞した書籍『M&A法大系』と学術論文『個人投資家の参照点と公開買付け価格』の表彰となります。

『M&A法大系』は、森・濱田松本法律事務所編としてまとめられ、著者を代表して、同事務所の石綿学様(パートナー弁護士)、棚橋元様(パートナー弁護士)のお二人に対して、表彰状の贈呈を行いました。

奨励賞3名 表彰状贈呈また、論文『個人投資家の参照点と公開買付け価格』は、東京工業大学の大学院生と大学教員である研究者2名の計3名の共著でまとめられ、小澤宏貴様(大学院社会理工学研究科 経営工学専攻修士2年)、池田直史様(同研究科 助教)、井上光太郎様(同研究科 教授)がステージに登壇、順に表彰状の朗読、贈呈を受けました。

表彰の最後は、社会人を含めた学生の応募論文を対象とする選考委員会特別賞です。
特別賞 表彰状贈呈 受賞論文『広告業界におけるM&Aを通した株主価値創造〜イベント・スタディによる検証〜』を執筆された童科様(早稲田大学ビジネススクール商学研究科 2016年3月卒)が登壇し、表彰状を受取られました。

9名の方の表彰に続き、式典は、岩田一政選考委員長(日本経済研究センター理事長)の講評へと移ります。
「最終選考となる2次審査では、多様なテーマについてまとめられた秀作の中での評価となり、いずれも力作で甲乙つけがたく、また、異なる分野の優れた業績を比較することは岩田委員長講評難しかった。」と明かされました。

そして、さらに、受賞の各4作品に対して、具体的で且つ懇切丁寧な講評がありました。
正賞『M&Aにおける第三者委員会の理論と実務』については、まず、「MBOや親会社による上場子会社の完全子会社化など利益相反性の高いM&Aについて組成される第三者委員会に期待される機能、第三者委員会が実施すべき検証作業に関する実務、取引条件の公正性について理論と実務の両面から鋭い切り込みをいれた秀作です。」と評され、さらに、「本書は、法理論と実務のプロセス、取引の公正性の確保という3つの観点から、その活動と役割が注目されている第三者委員会の機能が有効に発揮されるための条件と日本における課題を丁寧かつ具体的に浮き彫りにした点に貢献があります。」とまとめられました。

また、奨励賞『M&A法大系』は、「M&Aは法律の坩堝ともいわれますが、本書は、会社法、金融商品取引法、民法、競争法、労働法、倒産法、税法、外国法のみならず、産業別の業法や官庁の作成するガイドライン、報告書などのソフトローも網羅した法律実務に携わる者にとって必携の書と言えます。」とし、「本書の記述は平明、明快であるばかりでなく、日本ではまだ実際に観察されたことのない事項についても解説がなされていることは、本書の優れた特徴と言えます。」と説明されました。

同じく奨励賞の論文『個人投資家の参照点と株式公開買付け価格』に対しては、「株式公開買付け価格について個人投資家の参照点が重要な役割を果たしていることを実証した秀作です。」と評価し、さらに、「本論文の特徴は、買収先の経営者(企業主)と第三者機関が算定する公正価格も、買収が成功することを願うが故に、個人投資家の参照点を考慮して行動していることを実証したことにあります。そこでの実証分析と仮説検定は、堅実であり、得られた結論も明快です。」とコメントされました。

さらに、選考委員会特別賞『広告業界におけるM&Aを通した株主価値創造〜イベント・スタディによる検証〜』については、「本論文は、世界の大手広告代理店企業が実施したM&Aのイベント・スタディにより、投資家に評価されやすいM&Aの定性的な成功要因を研究したものです。データの限界がある中でまとめられ、解釈、結論にはやや無理もあり、更なる踏み込んだ分析も必要との意見もありましたが、最終的にビジネススクールでの短い期間での研究成果としては一定の水準に達しており、学術奨励賞に値する作品です。」と評されました。

そのほか、表彰作品からは漏れた優れた作品として、竹田年朗著『クロスボーダーM&Aの組織・人事手法 コントロールと統合の進め方』、野中健次・請川博美・井上大輔著『M&Aの労務デューデリジェンス』、石垣浩晶・矢野智彦・吉峯浩平著『株式取得価格決定におけるマーケットモデルを用いた回帰分析の具体的な方法論−レックス事件を題材に−』の3作品を挙げ、いずれも優れた作品であったことが報告されました。

最後は、受賞された皆様への祝辞と、作品をお寄せ頂いた方々への御礼で、選考委員長の講評は終わりました。

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