M&Aフォーラム賞

第6回M&Aフォーラム賞表彰式 

 第6回M&Aフォーラム賞授賞作品の表彰式が、10月2日(火)18:00より、東京都千代田区霞が関の霞山会館「三彩の間」(霞ヶ関コモンゲート西館37階)で行われました。
6回目となった今回のM&Aフォーラム賞は、東日本大震災という未曾有の災害の影響を受け、M&Aの成約件数や金額とも大幅に減少するという厳しい期間の中での募集となったため、応募作品数は昨年より3作品少ない11作品となりました。作品数は減少しましたが、学術研究書、実務書にとどまらず、M&A実務を小説形式でとりまとめた作品の応募もあり、それぞれの作品のレベルは今までの応募作品に勝るとも劣らない、優れたものでありました。

 はじめに、落合誠一M&Aフォーラム会長(中央大学法科大学院教授 東京大学名誉教授)からご挨拶がありました。

落合会長 今年もM&Aフォーラム賞の表彰式の日を迎えました。M&Aフォーラム賞の選定は、今年で6回目となり、少しずつではありますが知名度も上がってきたように思っています。そうした中で、毎年優れた作品のご応募のある状況ですが、今年度も力作を寄せていただいたということです。
 作品の選考については、選考委員長をお願いしました岩田先生から経緯やご苦労話についてのご説明が後ほどあると思います。
 さて、ご案内のとおり、そもそもM&Aフォーラムは、内閣府の経済社会総合研究所のM&A研究会の提起で設立しました。M&A研究会では、日本がかつての元気を取り戻すにはM&Aという手段は不可欠であるという認識のもと、従来までの研究は、法律は法律、経済は経済、実務は実務とばらばらに行われていたものを、総合的な視点からできないかということで活発に議論が重ねていました。実務と理論の全体的な総合、この総合がM&Aには大変重要であり、官のみならず、民の組織でも受け止めて検討を続けていくということが必要だろうということでM&Aフォーラムは創られ、現在にいたっています。
 日本経済もM&Aがなければ、生き残ることは難しい状況にあります。国内経済の縮小傾向はつづくなか、アジアをはじめ海外進出のM&Aが増えています。企業の海外進出には大きなリスクが伴い、相当周到な準備が求められます。法律、経済、経営、その他の分野も含めた総合的な力をもって進出がはかられる必要があり、M&Aの重要性がますます深まってきている状況にあります。
 そうしたなかで、本日、第6回のM&Aフォーラム賞の発表、表彰が出来ることを大変嬉しく思います。これを一つのステップとして、さらにM&Aが日本経済に尽力し、日本企業が海外でも成功するということにつながればと思います。
 今回、多くの優秀な応募作品の中から見事に正賞、奨励賞、特別賞に選ばれた受賞者の皆様には心からお祝いを申し上げます。皆様には、本フォーラムの趣旨をご理解賜り今後ともご支援のほどおねがいいたします。」

受賞作品 続いて、第6回M&Aフォーラム賞各賞の表彰と副賞の贈呈が行われました。
はじめに、正賞(RECOF賞)の『ステークホルダー 小説 事業再生への途』で受賞された日本GE株式会社のストラクチャードファイナンス本部エグゼクティブ・ディレクター コーポレートレンディング部長である堀内秀晃様に落合会長より表彰状の贈呈がされました。
 次に、M&Aフォーラム賞奨励賞 (RECOF奨励賞)の表彰となります。
 今回の奨励賞は2作品あり、はじめに『企業買収〜海外事業拡大を目指した会社の660日』をまとめられた三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の財務アドバイザリーサービス室長チーフコンサルタント、木俣貴光様の表彰が行われ、落合会長より表彰状が贈呈されました。
 2作品目は、『自社株対価TOBの実務上の諸問題』という論文をまとめられた森・濱田松本法律事務所のパートナー 弁護士である小島義博様、同じく峯岸健太郎様が登壇し、落合会長より表彰状が贈呈されました(共同執筆の藤田知也弁護士は、海外滞在中のため当日は欠席)。
 最後に、『フェアネス・オピニオン取得の決定要因と開示効果』という論文で、選考委員会特別賞(RECOF特別賞)を受賞された一橋大学の大学院商学研究科博士後期課程の高橋由香里様の表彰が行われました。

 このあと、今回の選考委員会の委員長の労を賜りました岩田一政日本経済研究センター理事長から、選考を終えてのご講評と受賞者へのお祝いの言葉がありました。

 「第6回目のM&Aフォーラム賞には、応募作品が11提出されました。今年の最大の特徴は、小説形式によって海外および国内を舞台とするM&Aの実態を活写する優れた作品が応募されたことでした。日本企業による内外のM&A活動も欧米水準へとさらに深く、ダイナミックに展開してきていることを心強く思います岩田氏
 小説形式の応募作品は、ただいま表彰されました堀内秀晃様の『ステークホルダー 小説 事業再生への道』と木俣貴光様の『企業買収 海外事業拡大を目指した会社の660日』の2つでした。前者は、日本のメインバンクの銀行員の視点から、取引先企業が買収したアメリカ企業をどのようにして事業再生し、企業価値を向上させた上で売却したか、そのプロセスを詳細に活写しています。アメリカにおける実務、特に、事前の交渉、契約締結のプロセスや保有資産の売却まできめ細かく叙述しています。後者は、企業経営者の視点から、海外事業拡大を目指した企業買収を小説形式で論じた作品です。臨場感があふれ、思わず自分が経営当事者であったらどのように判断、行動するのか、はらはらしながら読ませていただきました。外国企業の買収には、事前のデューディリジェンスがいかに重要か身にしみる程よく分かる作品であり、またM&Aが経営者のある種のアニマルスピリットが必要ということも実感できました。いずれも甲乙つけがたい力作でしたが、日本のメインバンクの役割や法律、商慣行とアメリカとの相違、とりわけアメリカにおいてターンアラウンド・ファーム、リクイデーション・カンパニー、DIPファイナンスに特化した部門を持つ投資銀行や企業再生ファンド、ディストレスト・ファンドなどM&A、企業再生に関連したビジネスがいかに大きく展開して拡大しているかを学ぶことができます。日本企業が内外の事業再生やM&A活動に携わるのに際し、多くの示唆を与えてくれるという点で『ステークホルダー』に一日の長があると判断いたしまして、選考委員の満場一致でM&Aフォーラム賞の正賞とし、『企業買収』を奨励賞とすることを決定しました。
 個人的な経験ですが、10年ほど前でしたか、1回目の『骨太の方針』をアメリカの政府関係者の説明に出向いたときに、空港にターンラウンド・ファームや投信銀行の関係者がシャドウ・コミッティをつくって待ち構えていました。日本の金融危機のグローバルな波及を防止するためということで、「我々は企業再生、企業再建の豊富な技術、ノウハウを持っているから、東京マーケットを不良債権の処理センターにしたらどうか」という提案をしてきました。当時はこれらのノウハウや技術についてよくわからない部分もありましたが、『ステークホルダー』を読んで、こうした機関についても微に入り細に入り説明があり、アメリカにおいては、こうしたビジネスが細かく発展していることをしみじみ理解しました。
 また、小島義博・峯岸健太郎・藤田知也のお三人の方の『自社株対価TOBの実務上の諸問題』という論文は、産活法改正により有利発行規制と現物出資規制の適用が回避可能になり、自社株対価TOBを実施する道が開けたことを踏まえ、その実務上の諸問題を法律の観点から懇切丁寧に解説がなされ、今後必要となる立法提案を行っている優れた論文です。日本における自社株対価TOBを活用したM&A活動の発展に貢献する論文である点を評価し、奨励賞とすることに決定しました。
 さらに、日本では事前に買い手企業が売り手企業の株式を保有している合併・買収が多いこともあり、売り手企業が第三者のフェアネス・オピニオンを取得するインセンティブが低い状況にあります。しかし、高橋由香里様の『フェアネス・オピニオンの取得の決定要因と開示効果』は、日本においても事前の株式保有比率が低い場合、また外国人株主が多く、売り手企業の取締役会人数が多い場合に、フェアネス・オピニオン取得が増加する傾向があると論じています。日本でフェアネス・オピニオンの役割を実証分析した論文は極めて数が少なく、先駆的な意義を評価して選考委員会特別賞の授与を決定しました。
 最後に、残念ながら今回の表彰作品からはもれましたが、優れた作品がほかにも数多く応募されました。なかでも、中小零細企業のM&Aにおける税理士の役割を論じた岸田康雄著『税理士・会計事務所のためのM&Aアドバイザリーガイド』、合併買収による経済効果と海外企業買収における法制度の相違が与える効果を統計的に検証した葉聰明著『日本企業の合併買収と企業統治』、デューディリジェンスのあり方を財務、法務の観点から包括的に整理した四宮章夫編著『事業再編のための企業評価の実務―財務&法務デューディリジェンスの実践的手法』はいずれも優れた作品でした。受賞された皆様には心よりお慶び申し上げますととともに、作品をお寄せ頂いた方々に改めて御礼申し上げます。」

 表彰式は、さらに受賞者一人ひとりがステージに上り、挨拶をされました。
 皆様それぞれに受賞された作品に対する思いや執筆の際のエピーソード、ご苦労話、関係者への感謝、今後の抱負などをコメントされました。
 正賞を受賞された堀内様からは、元々は実務書と堀内氏して取りまとめていた受賞作品が、紆余曲折の末、『ステークホルダー』が小説として取りまとめられた経緯をやご苦労話を「人間万事塞翁が馬」の故事を引用されながらご紹介されました。
 『企業買収』で奨励賞を受賞された木俣様からは、4回目の応募で初めて受賞されたことの喜びや「事実は小説より奇なり」の例えのごとく、作品の題材となったM&A案件の裏話などのご紹介をいただきました。
 弁護士の小島様は、「自社株対価TOB」を論文のテーマとした理由や昨年の譲渡益課税繰り延べの税制改正が実現しなかったことで、産活法の改正で期待のもたれていた制度利用が進んでいない現状と今後の制度利用促進に対する期待について話がありました。
 同じく峯岸様は、ファイナンスがご専門で、金融庁に出向されて金商法改正に関与された話や「自社株対価TOB」については実務上の論点が多く、取りまとめにご苦労された話などが紹介されました。
 高橋様は、「フェアネス・オピニオン」は博士課程になって初めてまとめた論文であったことや、自身の研究テーマである財務会計でありながら、受賞論文が研究テーマを超えた内容となったことでいろいろと苦労をされたこと、また現在、「負の暖簾」をテーマとした博士論文のとりまとめていることなどのご紹介いただきました。

 最後に、受賞者の皆様と落合会長、岩田選考委員長が加わっての受賞記念の写真撮影が行われ、式典は終了しました。

 表彰式終了後は、M&Aフォーラムの理事である藤岡文七日越経済フォーラム専務理事の「おめでとうございます」のご発声のもと、参加者全員で乾杯を行い、懇親パーティーが行われました。
 落合会長、岩田選考委員長はじめ、今回、受賞された皆様全員、及び式典にご参加いただいた第1回から第5回までのM&Aフォーラム賞受賞者の皆様、さらに選考委員の労を賜りました大杉謙一中央大学法科大学院教授はじめ、多くのフォーラム関係者が、受賞者との懇親やお互いの親睦を深める機会となりました。

 M&Aフォーラムでは、今後もさまざまな活動を通して、有意義な交流を図る機会を設けるよう、心がけていきたいと考えております。

写真
【写真前列向かって左から、木俣氏、落合会長、岩田選考委員長、堀内氏
後列向かって左から、 高橋氏、木俣氏、小島氏 】

式次第 

正賞

表彰状写真 

奨励賞

表彰状写真  

選考委員会特別賞

表彰状写真表彰状表彰状

選考委員会特別賞

表彰状