M&Aフォーラム賞

第8回M&Aフォーラム賞表彰式 

 第8回M&Aフォーラム賞授賞作品の表彰式が、9月29日(月)18:00より、東京都千代田区霞が関の霞山会館「三彩の間」(霞ヶ関コモンゲート西館37階)で行われました。
8回目となった今回のM&Aフォーラム賞は、平成25年(2013年)度に発表された作品(書籍・論文)が対象でした。
 M&Aマーケットが、企業業績の改善を背景に、件数・金額とともに回復基調にあり、大型のクロスボーダー型M&A(IN−OUT)に加え、国内企業同士のM&A(IN−IN)も、大手企業だけでなく、後継者問題等を抱える中堅・中小企業にまで広がりはじめた時期での募集となりました。

 応募いただきました作品数は、昨年と同数の12作品で、今回の特徴としては、法律、企業経営・事業戦略、金融、企業(事業)再生、あるいは人事労務管理などをテーマに、学術書(論文)やM&A実務書として、M&Aをさまざまな角度からとりまとめた作品の応募が見られました。
 また、ここ数回の特徴とも言えますが、初期のM&Aフォーラム賞の応募作品に多く見られたM&A全体を見て論じる作品だけではなく、M&Aの専門分野を掘り下げて、学術・研究的視座に立った作品やM&A実務を企業担当者の目線でとりまとめた小説形式の応募もありました。
 応募いただきましたそれぞれの作品のレベルは、今までの応募作品に勝るとも劣らない、非常に優れたものでありました。 落合会長

 表彰式は、落合誠一M&Aフォーラム会長(中央大学法科大学院教授 東京大学名誉教授)からの挨拶からスタートしました。

 今年で8回目となったM&Aフォーラム賞の表彰にあたり、数多くの優れた作品を応募いただいたすべての応募者の皆様に対するお礼の言葉が始めにありました。
 また、日本のM&Aに対してもプラスの影響を与える歴史ある顕彰制度を継続する上で、スポンサーとしてサポートを頂くレコフ様への感謝と、毎年毎年、優れた作品の中から難しい審査を行い、授賞作品の選考の労を賜っている岩田一政選考委員長を始めとする選考委員の方々に謝辞がありました。
 そして、今回のM&Aフォーラム賞において、多くの優秀な応募作品の中から見事に正賞、奨励賞、選考委員会特別賞に選ばれた6人の受賞者の皆様にご祝辞を述べられ、合わせて、お忙しいところ、本日の授賞式にお集まりいただいた皆様に対してもお礼の言葉が伝えられました。

 続いて、第8回M&Aフォーラム賞各賞の表彰と副賞の贈呈が行われました。
 はじめに、M&Aフォーラム賞正賞を授賞した『スポンサー企業のケイパビリティと企業再生M&Aの成果』の表彰となり、執筆した芦澤美智子様(横浜市立大学国際総合科学部准教授)が登壇し、落合会長が表彰状を朗読、贈呈が行われました。 正賞

 表彰は、M&Aフォーラム賞奨励賞へと移ります。
 奨励賞は、本来は1作品ですが、今回は、甲乙付けがたく2作品の授賞となりました。

 まず、1作品目である『株式買取請求権の構造と買取価格算定の考慮要素』(商事法務 刊)の著者である飯田秀総様(神戸大学大学院法学研究科准教授)に対し、落合会長が表彰状を朗読、贈呈が行われました。
 飯田様は、『公開買付規制における対象会社株主の保護』という論文で、第1回のM&Aフォーラム賞奨励賞を受賞しており、今回が2度目の受賞でした。

 続く2作品目は、『ジョイント・ベンチャー戦略大全 設計・交渉・法務のすべて』(東洋経済新報社 刊)で、共著でまとめられた宍戸善一様(一橋大学大学院国際企業戦略科教授)、福田宗孝様(ソーラーフロンティア株式会社監査室室長)、梅谷眞人様(富士ゼロックス株式会社知的財産部渉外グループ長)お三方の表彰へと変わります。
 当日は、宍戸教授がアメリカに滞在中ということで、福田様、梅谷様のお二人が順に登壇し、落合会長からそれぞれ表彰状の朗読と贈呈を受けました。

 引き続き、学生の方の応募論文を対象とするM&Aフォーラム賞選考委員会特別賞の表彰へと移ります。
 授賞作品は、『同志社法学』の第65巻第5号に所収されている論文『支配株主による締出しの場面における特別委員会のあり方』で、執筆者である寺前慎太郎様(同志社大学大学院法学研究科博士後期課程3年)が登壇され、落合会長から表彰状が朗読、贈呈が行われました。

 次に、選考委員会委員長の労を賜りました岩田一政日本経済研究センター理事長から、選考を終えての講評と受賞者へのお祝いの言葉へと表彰式は続きます。

 今回、M&Aに関わる様々な分野・問題を取り上げた書籍・論文の応募があった中で、2次審査に残ったのは、企業再生M&A、金融円滑化法の出口戦略とM&A、株式買取請求権、M&Aの人事労務管理、ジョイント・ベンチャー、不適当合併など、多様なテーマについての著作による選考となったことが始めに説明されました。

 ついで、各授賞作品に対する個別具体的で大変丁寧な講評があり、合わせて、一次、二次の選考経過も報告されました。

 正賞となった『スポンサー企業のケイパビリティと企業再生M&Aの成果』については、企業再生を成功させるためのケイパビリティがスポンサー企業からもたらされる場合、そのケイパビリティとは何かを理論的かつ実証的に解明した著作として紹介され、本論文の論旨の明快さ、骨太な論理展開と実証分析を備えた著作であると評されました。

 また、奨励賞となった飯田秀総著『株式買取請求権の構造と買取価格の考慮要素』は、利害相反要素のある合併等について、株式買取請求権とその買取価格をめぐる法的課題をアメリカのデラウェア州の法例、法理と比較検討し、日本のあるべき姿を論じた学術的な価値の高い作品と評されました。

 同じく奨励賞の宍戸善一・福田宗孝・梅谷眞人3人の共著『ジョイント・ベンチャー戦略大全 設計・交渉・法務のすべて』については、ジョイント・ベンチャーの生成、発展、解消について包括的な記述がなされ、交渉のプロセスを中心に、法律と経済学を横断的に整理して述べた著作であり、ジョイント・ベンチャーに拠出された人的資本や知的財産を巡る交渉についての考察は秀逸とし、ジョイント・ベンチャーに関する支配の分配、果実の分配、退出について、パートナー間の利害対立と不安にその主要なリスクがあるとの観点から、有効なリスク管理を行うための仕組みを提示していることを高く評価されました。

岩田選考委員長 授賞した3作品はいずれも甲乙つけがたい力作であり、最終選考の場面でも、異なる分野の優れた業績を比較することは容易ではなかったことが紹介されました。
 そうした中で、日本における企業再生とスポンサー企業のケイパビリティの関係をわかり易く、かつ論理的かつ実証的に明確化している点が評価され、審査委員の満場一致で『スポンサー企業のケイパビリティと企業再生M&Aの成果』をM&Aフォーラム賞の正賞とし、『株式買取請求権の構造と買取価格の考慮要素』『ジョイント・ベンチャー戦略大全・設計・交渉・法務のすべて』の2作品は、奨励賞を授与することが決定されたことが報告されました。

 また、M&Aフォーラム賞の前身であるレコフ賞を受け継ぎ、学生論文を対象に表彰を行ってきましたM&Aフォーラム賞選考委員会特別賞は、全会一致で寺前慎太郎著『支配株主による締出しの場面における特別委員会のあり方』への授与を決定したことが報告されました。
 支配・従属会社間における企業買収においての利益相反を回避する措置の一つとして、支配株主との交渉権限を付与された特別委員会の役割があり、デラウェア州の最近の判例法理を踏まえた上で、日本における特別委員会に関する具体的な提言〔特別委員会の人数、メンバーの選定方法、メンバーのふさわしい属性、メンバーに求められる独立性〕を行っており、学術奨励賞としての授賞に値する作品であるとして紹介されました。

 さらに、最終の選考から漏れたものの、堀内秀晃著『ステークホルダーU 小説 金融円滑化法出口戦略への途』、野中健次著『M&Aの人事労務管理』の2作品はいずれも優れた作品であったことも報告されました。

 最後に、受賞された皆様へのご祝辞と、作品をお寄せ頂いた方々への御礼で、選考委員長の講評は終わりました。

芦澤氏 続いて、表彰式は、受賞者お一人おひとりが順にステージに上り、受賞の挨拶へと移りました。
 皆様それぞれに、受賞の喜びとともに、作品に対する思いや執筆の際のエピーソード、ご苦労話、関係者への感謝、今後の抱負などをコメントされました。

 はじめに、『スポンサー企業のケイパビリティと企業再生M&Aの成果』で正賞(RECOF賞)を受賞された芦澤美智子様は、 M&Aフォーラム賞の受賞が研究のひとつの目標となっていたことや研究の背景となったご自身のご経歴やその過程で産まれたM&Aに対する問題意識が前提となっていることなどをご披露され、合わせて、大学院の指導教授の方、家族、友人、関係者などへのお礼を述べられました。

飯田氏 次いで、『株式買取請求権の構造と買取価格算定の考慮要素』で奨励賞を受賞された飯田秀総様は受賞の喜びとともに、東京大学の助手当時に受賞した第1回に続く2度目の受賞となったことにも触れられ、その前後のM&Aフォーラムとの関わりで得た経験やM&Aに対する知見が現在の研究にも大いに生かされていると話されました。

 また、『ジョイント・ベンチャー戦略大全 設計・交渉・福田氏法務のすべて』で奨励賞を受賞された福田宗孝様と梅谷眞人様が順に挨拶をされました。
 福田様は、共著の宍戸教授や梅谷様と交流が始まった大学院時代から授賞作品の出版に至るまでの経緯や出版となったときの安堵感について話され、同僚や上司、家族の周囲の理解があったことへの感謝の思いも言葉にされました。

 梅谷様のスピーチでは、とりまとめの議論の場や原梅谷氏稿化のスケジュール調整など、共著でまとめることの難しさを語られ、さらに、出版までの道のりが長期に及んだこともあり、出版社の編集担当者に対して感謝を伝えられました。

 

 

寺前氏 続いて、『支配株主による締出しの場面における特別委員会のあり方』をまとめた寺前様が挨拶されました。自身が研究テーマに関心を持った背景や今後の研究の方向についてを発表されたほか、指導教授や家族への感謝をまとめられました。

 

 最後に、受賞者の皆様と落合会長、岩田選考委員長が加わっての記念撮影が行われ、式典は終了し、M&Aフォーラム賞の歴史にまた新たなページが加わりました。

 表彰式の終了後は、M&Aフォーラム事務局である一般社団法人日本リサーチ総合研究所の藤岡文七理事長からの「おめでとうございます」の発声のもと、参加者全員で乾杯となり、懇親パーティーへと移りました。 受賞者集合写真

 懇親パーティーでは、落合会長、岩田選考委員長はじめ、M&Aフォーラム賞受賞者、及び式典にご参加いただいた歴代受賞者の皆様、さらに選考委員の労を賜りました大杉謙一中央大学法科大学院教授、西山茂早稲田大学教授、丹羽昇一レコフデータ執行役員をはじめとする多くのフォーラム関係者が、それぞれ受賞者との懇親やお互いの親睦を深める機会となりました。
 また、事務局から、当日、業務等の都合によりご参加いただけなかった歴代受賞者の方からの第8回受賞者の皆様に対するご祝辞の代読、最近の研究テーマや近況なども披露され、大いに盛会となりました。

M&Aフォーラムでは、今後もさまざまな活動を通して、有意義な交流を図る機会を設けるよう、心がけていきたいと考えております。 式次第