M&Aフォーラム賞

第9回M&Aフォーラム賞表彰式 

 第9回M&Aフォーラム賞の表彰式が、9月30日(水)18:00より、東京都千代田区霞が関の霞山会館「三彩の間」(霞ヶ関コモンゲート西館37階)で行われました。

 9回目となった今回のM&Aフォーラム賞は、平成26年(2014年)度に発表された作品(書籍・論文)が対象でした。
応募いただきました作品数は、昨年に比べ1つ少ない11作品で、M&A実務に関わる作品が8作品と最も多く、分野では、法律、企業経営・事業戦略、税務・会計、金融・ファイナンスなどをテーマにした作品のほか、法律と経済学の両方の視点で分析を試みた作品もありました。また、日本企業の海外企業買収が増勢にある中、クロスボーダーM&A(IN−OUT)を取り上げたものが目立ち、M&Aにより海外進出を図る日本企業に対して示唆に富んだ内容が盛り込まれていました。
落合会長お一人でまとめられた作品だけでなく、共著や所属の機関・グループ等のメンバーでとりまとめた作品もあり、それぞれの作品のレベルは、今までの応募作品に勝るとも劣らない、非常に優れたものでありました。

 表彰式は、落合誠一M&Aフォーラム会長(東京大学名誉教授)からの挨拶からスタートしました。

 まず始めに、今年で9回目となったM&Aフォーラム賞の表彰にあたり、「数多くの優れた作品を応募いただいたすべての応募者の皆様に対しまして、お礼を申し上げます。」とする言葉がありました。
また、日本のM&Aに対してもプラスの影響を与える歴史ある顕彰制度を継続する上で、スポンサーであるレコフ社と、難しい審査を行い、受賞作品選考の労を賜っている岩田一政選考委員長始め、3人の選考委員の方々に謝辞がありました。
さらに、今回、見事に正賞、奨励賞、選考委員会特別賞に選ばれた受賞者には「心からお祝い申し上げたい。」と祝辞が述べられ、合わせて、お忙しい中で受賞式にお集まりいただいた皆様に対してもお礼の言葉が伝えられました。

 会長の挨拶に続き、表彰と副賞の贈呈へとステージは移ります。
正賞表彰表彰は、正賞となった『海外企業買収 失敗の本質 戦略的アプローチ』から始まります。
著者である松本茂様(SCSグローバル取締役・マネージングディレクター)が登壇され、落合会長が表彰状を朗読、会場は満場の拍手で包まれました。

 続いて、奨励賞受賞『買収ファイナンスの法務』の表彰です。
共著者である大久保涼様(長島・大野・常松法律事務所弁護士)、鈴木健太郎様(柴田・鈴木・中田法律事務所弁護士)、宮ア隆様(長島・大野・常松法律事務所弁護士)、服部紘実様(長島・大野・常松法律事務所弁護士)の4人がステージに登壇、順に表彰状の朗読、贈呈となりました。

 表彰の最後は、学生の応募論文を対象とする選考委員会特別賞です。
受賞論文『株式買取価格決定における市場株価を参照した「シナジー分配価格」を無裁定価格で補正するための数理分析』を執筆された石塚明人様(青山学院大学大学院法学研究科博士後期課程)が登壇し、表彰状を受取られました。

岩田委員長 次に、式典は岩田一政選考委員長(日本経済研究センター理事長)の講評へと移り、「最終選考となる2次審査では、多様なテーマについてまとめられた秀作の中での評価となり、いずれも力作で甲乙つけがたく、また、異なる分野の優れた業績を比較することは難しかった。」と明かされました。

 そして、さらに、各作品の個別かつ具体的で、懇切丁寧な講評がありました。
正賞『海外企業買収 失敗の本質 戦略的アプローチ』では、「1985年から2001年にかけて実施された116件のM&Aのうち、本書が明確に成功したとしている例は9件に過ぎず、失敗例を検討して導き出された3つの教訓やM&Aの成否を握るのは、企業が中長期の視点にたって利益成長実現に向けて努力を継続しているかにかかっていることが重要であること」など本書の指摘を紹介した上で、「読みやすく、かつ失敗の本質が要領よくまとめられていて、日本企業により実施されたM&Aが、実際にどの位成功したのか実証的に明らかにしています。また、失敗した例について、失敗の原因がどこにあったかを具体的に究明した書はこれまでありませんでした。これまでのM&Aに関する業績のなかで、空白となっていた部分を埋めた業績を高く評価するところです。」と説明されました。

 また、奨励賞となった大久保涼編著『買収ファイナンスの法務』は、「買収ファイナンスの実務を要領よく整理し、かゆいところに手が届くように解説している実務書で、本書1冊をよく読めば、日本における買収ファイナンスの概要と現状を知ることが出来ます。」とし、さらに、「基礎的な事項からクロスボーダーの買収ファインナンスを巡る問題までをカバーされています。日本の法務が、次第にアメリカの水準にキャッチアップされつつあることを実感できました。」と評されました。

 さらに、選考委員会特別賞『株式買取価格決定における市場株価を参照した「シナジー分配価格」を無裁定価格で補正するための数理分析』には、「日本においては、アメリカと比べて「法と経済学」の分野が未発達であり、その意味で、本論文は貴重な試みといえます。」とし、「商法とファイナンス理論の架け橋となる本論文を評価したい。」と付け加えられました。

 そのほか、受賞の選考から漏れた砂川信幸著『はじめての企業価値評価』と太田洋編著『企業取引と税務否認の実務』の2作品はいずれも優れた作品であったことも報告されました。

 最後は、受賞された皆様へのご祝辞と、作品をお寄せ頂いた方々への御礼で、選考委員長の講評は終わりました。

 続いて、表彰式は、受賞の挨拶へと移りました。
松本氏正賞の松本様から、一人ひとり順にステージに上り、それぞれに、受賞の喜びとともに、作品に対する思いや執筆の際のエピーソード、ご苦労話、関係者への感謝、今後の抱負などをコメントされました。

 正賞の松本様は、「正賞を受賞できまして非常に光栄に思っております。」と述べ、執筆を通して、1つはアカデミックの分野、2つ目はM&Aの現場との出会い、最後は同志社大学ビジネス研究科の講義の機会という3つの出会いを得られたことを話されました。そして、「執筆、出版を通していろいろな形で出会いがあり、広がったということは自分にとって財産である。」と付け加えられました。

 次は、奨励賞の4人の受賞者のスピーチとなり、大久保様は、2回目の受賞に対する喜びとともに、執筆の経緯として「買収ファイナンスは、M&Aも、ファイナンスも両方理解しなくてはいけないかなり専門的な分野でもあり、原理原則を丁寧に説明しようと思ったことが、本書を書こうと思った理由です。」と明かされ、「日々進化している分野であり、M&Aの発展、買収ファイナンスの理解の発展に少しでも役立てればこの上もない幸せです。」と述べられました。
奨励賞続いて、鈴木様は、冒頭「大変歴史のある賞を頂戴しましてどうもありがとうございました。」とし、執筆過程を振り返りながら、「弁護士は、案件がないと経験値になりません。依頼主へのサービス、恩返しもできません。案件をやることは当然だが、それを違うような形で、執筆なのかどうかはわからないが、今後、還元できればと思っています。」とまとめられました。
宮ア様は、「感謝と喜びの気持ちでいっぱいです。」と述べられた後、「買収ファイナンスは、M&Aとファイナンスの両方の分野が必要で、専門知識だけでなく、経験が必要な分野です。その経験を補完する本が今まではなくて、われわれも先輩に話しを聞いて、キャッチアップしているような状況だったことも、この本を書くことに繋がりました。」と執筆のきっかけを説明されました。
また、服部様は、執筆期間がニューヨーク留学と重なったことのエピソードとして、「時差の関係もあり、執筆の関係の打ち合わせは朝早くか夜遅くになってしまいました。スカイプを利用しながら何度も打ち合わせを重ねて出来上がりました」と明かされ、「この8月に事務所に復帰しましたが、留学前とはまた違った目線で案件に携わるようになったと思います。」とコメントされました。

 最後に、選考委員会特別賞の石塚様がステージに上り、「名誉ある賞をいただきまして、関係者の皆様にお礼申し上げます。これを励みに精進していきたいと思います。」と話された後、苦労した点として、「特に数字を扱っている部分、計算ミスが往々にしてあります。分析はエクセルをベースにしているだけで、一人で分析をしているために、計算間違いがないか、どこかで間違っているのでは、と心配になり、夜中に急に起きて、計算ミスがないかチェックしたり、夢の中でもうなされるようなこともありました。」という体験が話されました。

 スピーチが終わると、受賞者の皆様と落合会長、岩田選考委員長が加わっての記念撮影が行われ、式典は終了しました。M&Aフォーラム賞の歴史にまた新たなページが加わりました。

大杉氏 表彰式の終了後は、落合会長、岩田選考委員長はじめ、今回の受賞者、及び式典にご参加いただいた歴代受賞者、など、多くのフォーラム関係者の参加した懇親パーティーへと移ります。

 始めに、選考委員のお一人である大杉謙一様(中央大学法科大学院教授)から、「法律以外のものについて自分が審査するのは大変ではあったが、自分の苦労に報われるいろいろな出会いがあってよかったなと、この9年を振り返ってかみしめているところでもあります。」という挨拶の後、乾杯のご発声をいただきました。

懇親会 懇親パーティーでは、受賞者に歴代受賞者も加わり、参加者の懇親と親睦を大いに深める機会となりました。
途中、歴代受賞者の方から近況や取組み、最近の研究・執筆のテーマなどの報告もあり、今回の受賞作に関する感想や自身の副賞の有意義な活用についての報告、最近のM&Aマーケットに関する印象、等ユーモアを交え、さまざまなスピーチがありました。
また、当日、業務等の都合によりご参加いただけなかった方からのメッセージも披露され、大いに盛会となりました。

丹羽氏 最後に、選考委員のお一人である丹羽昇一様(レコフデータ執行役員)による締めの挨拶で、「M&Aフォーラムができて10年、フォーラム賞が始まって9回目になりますが、本当に重みを感じています。」とし、「受賞された皆さんも毎年足し算で増えて、皆さん、第一線で活躍をされています。この輪がもっと大きく広がって、日本のM&Aの文化を作る人たちの集まりとして続けていって欲しいと思います。よろしくお願いします。」とまとめられた後、ご発声とともに、参加者全員で一本締めを行い、閉会となりました。

 M&Aフォーラムでは、今後もさまざまな活動を通して、有意義な交流を図る機会を設けるよう、心がけていきたいと考えております。集合写真

式次第