わが国のM&Aは、件数、金額ともに一段と増加傾向にあり、構造改革を経て民需中心の持続的成長をめざすわが国経済にとって、多様で革新的な投資の活性化を図るために有効な手段として、益々重要性を増しております。『M&Aフォーラム』は、こうしたなかで、2005年12月に発足しました。
M&Aの問題は、きわめて大きな複合問題といえます。M&Aの学問的分析を考えたとき、経済学、法律学、経営学などの関係諸科学からの幅広い研究者による総合的な研究が求められます。また実務の面からいっても、M&Aを遂行するためには、インベストメント・バンクあるいはコンサルティングファームのエキスパート、弁護士、会計士等々多くの幅広い専門家の関与が必要です。
こうした意味で、わが国のM&Aについて総合的に検討し、あるべき方向を指し示すには、個別の学問領域あるいは個別の実務領域からのアプローチではその全貌の把握は難しいといえます。研究者のみならずM&Aの第一線で活躍する実務家も加わって、いわば学問と実務による学際的研究が求められている所以でもあります。
本フォーラムは、内閣府経済社会総合研究所の「M&A研究会」の2005年10月の中間報告において、民と官との連携ができる民間ベースのフォーラムの創設が提唱され、わが国のM&Aの発展と普及を促す活動を行う場として設立されました。 フォーラムには、M&A研究会のメンバーはもとより、様々な関係分野の有識者、実務専門家、企業関係者等が参加されています。
フォーラムでは、わが国企業のM&A活動を理論的、実証的および実務的な視点から総合的に評価し、さらに進歩、変化するM&A事情の研究・調査し、今後のわが国におけるM&Aのあり方についての提言を行います。また、主として企業人を対象とした「M&A人材育成塾」などの事業を通して、M&Aの普及・啓発、人材や市場の育成等に資する活動を実践いたします。 本フォーラム設立の趣旨をご理解いただき、関心を持つ多くの法人、専門家の方々のご参加を希望します。
M&Aフォーラム会長
東京大学名誉教授
中央大学法科大学院教授
落 合 誠 一