M&Aフォーラム

第16回
M&Aフォーラム賞

16th M&A Forum Award

M&Aフォーラムでは、M&Aフォーラム賞選考委員会(委員長:岩田一政 日本経済研究センター理事長)のもと、第16回M&Aフォーラム賞の選考を進めてまいりましたが、2022年9月1日に開催されました選考委員会において、満場一致で、以下の4作品を表彰作品として選定いたしましたのでご報告いたします。
受賞作品の著者の皆様、おめでとうございます。また、今回ご応募いただき、残念ながら選外となりました皆様にも御礼申し上げます。ありがとうございました。
(以下、敬称略、所属は執筆、または応募時点)

  • 選考結果

  • 授賞式の
    様子

  • 募集要項

M&Aフォーラム賞正賞
『RECOF賞』 2篇

  • 『日本のマネジメント・バイアウト 機能と成果の実証分析』
    書籍
    有斐閣 刊
    『日本のマネジメント・バイアウト 機能と成果の実証分析』

    著者

    川本 真哉(かわもと しんや)

    南山大学経済学部教授
    受賞者の声
    川本 真哉 氏

    川本 真哉 氏

    「このたびは、M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』を賜り、大変光栄に存じます。長年の宿願を成就させることができました。

    本書では、日本におけるMBOの機能と成果について、ケース・スタディとデータ分析のバランスに意識しながら、検証を試みました。主なトピックとして、日本におけるMBOマーケットの概観、非公開化型MBOの動機、それらの事後パフォーマンスの推移、公表前における利益調整行動の有無、公正性担保措置の影響に関する解明、ダイベストメント型MBOの発生要因と株主の富への影響、などが扱われています。

    これらアプローチをご評価いただいたことを、大変嬉しく思います。選考委員の先生方、関係各位に厚くお礼申し上げます 」

  • 『バリュエーションの理論と実務』
    書籍
    日本経済新聞出版 刊
    『バリュエーションの理論と実務』

    編著者

    鈴木 一功(すずき かずのり)

    早稲田大学 大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授

    田中 亘(たなか わたる)

    東京大学社会科学研究所教授
    受賞者の声
    • 鈴木 一功 氏

      鈴木 一功 氏

    • 田中 亘 氏

      田中 亘 氏

    「このたびは、大変栄誉ある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。共著者一同を代表して、選考委員の皆様、レコフデータ様、並びに出版元の日経BP様に厚く御礼を申し上げます。

    本書は、2017年から2020年に開催された「バリュエーション研究会」の議論を踏まえ、その成果物として出版しました。同研究会では、法学、経済、ファイナンス、会計の研究者と、企業法務、および企業価値評価に携わる実務家が、日本におけるバリュエーションの問題点をテーマ毎に取り上げ、理論面、実務面からの検討を加えました。

    日本のバリュエーションを巡る実務やそれを巡る裁判例は、米国に比べるとまだまだ発展途上で、多くの課題を抱えています。本書が、バリュエーションに関わる実務家や法律家にとって、そうした課題を整理し、理解する上での一助となれば幸いです 」

M&Aフォーラム賞奨励賞
『RECOF奨励賞』 1篇

  • 『海外M&A新結合の経営戦略』
    書籍
    東洋経済新報社 刊
    『海外M&A新結合の経営戦略』

    著者

    松本 茂(まつもと しげる)

    (京都大学経営管理大学院特命教授、城西国際大学大学院教授)
    受賞者の声
    松本 茂 氏

    松本 茂 氏

    「このたびは、M&AフォーラムRECOF奨励賞を頂きありがとうございます。

    2001年からの20年間に日本企業が実行した海外M&Aの累計は9390件、買収金額の合計は約120兆円に上ります。今世紀、日本企業が何に経営資源を投じたのかと問われれば、間違いなく海外での買収はそのひとつに挙げられます。本書では、日本企業がこの海外M&Aに挑んだことによって取り戻しつつあるダイナミズムを捉え、買収で事業を世界一に育てた企業経営の姿を描きました。

    私は、前著「海外企業買収失敗の本質」でも賞をいただき、実務家から大学教員になる転機となりました。M&Aフォーラム賞は、M&Aの研究者にとって励みになっています。選考委員の皆様、そして、関係各位にお礼申し上げます」

M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞
『RECOF特別賞』 1篇

  • 論文
    『日本企業のM&Aにおける要因分析』

    著者

    先崎 博文(せんざき ひろふみ)

    (株式会社朝日新聞社(一橋大学経営管理研究科2022年3月修了))
    受賞者の声
    先崎 博文 氏

    先崎 博文 氏

    「この度はM&Aフォーラム賞選考委員会特別賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方、関係者の皆様、そして本研究にあたってご指導賜りました安田行宏先生をはじめお世話になった全ての方々にこの場を借りて心より御礼申し上げます。

    本研究は日本の上場企業に焦点をあて、どのような特徴のある企業がM&Aを推進するのかについて多面的な要因分析を行ったものです。この中で過去のM&A経験が次回のM&A実施に影響を与えている点や、その影響期間についても明らかにすることが出来ました。

    研究を通じて得た知見を実務の中でも活かして仕事をしていきます。この度は誠にありがとうございました」

M&Aフォーラム会長からの
メッセージ

M&Aフォーラム落合誠一会長(東京大学名誉教授)
人材育成と優れた作品の表彰を通じ、
わが国M&Aの発展に貢献
落合誠一氏

落合 誠一 氏

「私ども『M&Aフォーラム』の設立経緯を振り返りますと、内閣府経済社会総合研究所にM&A研究会が置かれ、私もそのメンバーとして参加し、わが国のM&Aの発展について議論がなされました。この結果、2005年にM&Aフォーラムの設立が提唱され民間ベースのフォーラムとして発足した訳ですが、その過程で、M&Aフォーラムの事業の柱となる2つの重要な点が挙げられました。

1つはM&Aに精通した人材の育成であります。M&Aの主体はまさに民間であり、民間の力を土台に進めるべきではないかとの考えのもと生み出されたのが『M&A人材育成塾』です。M&Aを学べる研修・セミナーを開催し、これまでにご活用いただいた企業数は延べ1,200社を超え、受講された方は延べ1,750名に達しております。当フォーラムは、人材育成を通じてわが国のM&Aの発展に微力ながらも貢献してきたものと自負しております。

もう一つは、M&Aに対する研究を盛んにしていくことの必要性です。この考えに基づいて開催されておりますのが『M&Aフォーラム賞』です。わが国のM&Aの普及啓発に資する優れた書籍、研究論文に対して表彰する制度であり、毎年実施して参りましたが、月日の経つのは早いもので16回目を迎えました。また、これまでに57作品の書籍・研究論文が顕彰され、M&Aの研究者の方々の間でも相当に浸透している賞ではないかと思っております。

毎回、甲乙つけがたい優れた応募作品が多い中、岩田一政選考委員長の下、選考委員会において、厳正なる審査が行われております。岩田委員長を始め、審査の労を賜りました選考委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、受賞者の方々、関係者の方々に対しまして、今一度厚く御礼申し上げて、私の挨拶とさせていただきます」

選考委員長からの講評

岩田一政選考委員長(公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長)
岩田 一政 氏

岩田 一政 氏

岩田選考委員長は、「本年の特徴は、日本のM&Aの歴史を振り返り、その成果を再検討し、将来を展望する作品が多かったように思います。また、海外M&A、MBO、企業の価値評価や評価差額に関する包括的な研究書など質の高い作品が多数寄せられました。さらに近年注目されている経済安全保障に関連した外為法と対内直接投資の関係やプライベート・エクイティ・ファンドとESG投資についての作品などもあり、応募作品の順位付けを巡って、最後まで慎重に熟議を重ねました」

として、次のように講評を述べた。

「M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』の1作品目となります、川本真哉著『日本のマネジメント・バイアウト機能と成果の実証分析』は、経営陣による自社株買収(MBO)の経済的機能に着目して、その役割とパフォーマンスをデータに基づいて包括的に実証分析した優れた作品です。 MBOを当該企業の上場廃止を伴う「非公開化型」と子会社が親会社から独立する「ダイベストメント型」に分類した上で、その動機と買収によるプレミアムの決定要因、成果について総合的に検討し、評価しています。本書はMBO研究の基礎的な土台となる研究書であり、政策上の課題についても示唆するところが多い作品であります」

と高く評した。

続いて、「M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』の2作品目として、鈴木一功、田中亘編著『バリュエーションの理論と実務』は、M&Aとファイナンスにおける企業価値評価の実務と課題を、とりわけ会社の裁判例を念頭において検討した重厚な研究書であります。

M&Aを上場企業と非上場企業に分け、また構造的な利益相反を伴うケースと伴わないケースについて概念と論点を整理した後、日米の会社裁判例の法的論点と問題点を手際よく紹介しています。裁判所が現代ファイナンス理論を十分理解していないことによる弊害を除去しようという意欲が伝わってくる書であります」

と高く評した。

続いてM&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』として、『海外M&A新結合の経営戦略』について述べた。 「松本茂著『海外M&A新結合の経営戦略』は、2001年から19年間にわたり日本企業が実施した海外M&Aが累計8833件、買収金額116.7兆円に上ることを踏まえ、1985年以降の草創期と発展期にわけ、草創期には失敗例が多かったが、発展期には成功例が増えてきていることに着目し、日本企業が海外M&Aでつかみはじめた新たな競争力の萌芽を伝えることを目指しています。 海外M&Aで飛躍した6企業の経営の在り方についての分析や成熟市場占有、供給連鎖占有、製品群拡張、新市場形成、防御の5つの買収モデルの提示は興味深いものがあります」

と評した。

続いて、M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞『RECOF特別賞』として、『日本企業のM&Aにおける要因分析』について述べた。

「先崎博文著『日本企業のM&Aにおける要因分析』については、日本企業がM&Aを志向する要因についてその実態と経営手段としてのM&Aの役割を探った作品であります。 この作品の貢献は、1万7000件を超えるパネルデータを駆使し、キャッシュリッチな企業、外国人株主の多い企業、ストックオプション制度導入企業、過去3年以内にM&Aを実施した企業は、M&A実施確率が高まることを明らかにしていることです。2008年から2019年の11年間の日本企業によるM&A活動を包括的に実証している点を評価しました」

と締めくくった。

選考経過ご報告

M&Aフォーラム賞選考委員会は、2021年度(令和3年)「第16回M&Aフォーラム賞」に4作品を選定し、10月5日授賞式が行われた。

「M&Aフォーラム」は、2005年の内閣府経済社会総合研究所の「M&A研究会」において民と官との連携ができる民間ベースのフォーラムが提唱されたことを受け2005年12月に設立され、今年で17年目を迎える。

理論的、実証的及び実務的な視点から、進歩、変化するM&A事情の研究・調査を行い、今後の我が国におけるM&Aのあり方について提言を行うとともに、主に企業人を対象にした「M&A人材育成塾」の運営等の活動を通じて、M&Aの普及・啓発、人材や市場の育成に資することを目的としており、さまざまな関係分野の有識者、実務専門家、企業関係者が参加する場となっている。

「M&Aフォーラム賞」は、2000年度に「M&Aに関する社会科学的観点からの研究論文の執筆で顕著な業績をあげた学生・院生を顕彰する懸賞論文制度」としてレコフが創設した『RECOF賞』が前身で、M&Aフォーラムからの強い要請もあり、学識経験者、行政担当者、M&A専門家、企業関係者(実業界)ならびに大学院、大学、各種専門学校を含めた学生にいたるまで幅広い分野に対象を広げ、06年にM&Aフォーラム賞『RECOF賞』として引き継がれた。

第16回を迎えた今回は、法律、経済、経営、税務・会計、ファイナンスなどをテーマにそれぞれの観点で掘り下げた、14の書籍・論文の応募があった。 選考委員長の岩田一政氏(公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長)のもと、大杉謙一氏(中央大学法科大学院教授)、西山茂氏(早稲田大学ビジネススクール教授)、丹羽昇一氏(レコフデータ専務理事)の3人の委員によって、

  • 作品が創造性に富んでいること
  • 理論的、実証的な分析を行っていること
  • 実用性・実務への応用可能性が高いこと
  • 問題点を先取りし、その解決の糸口を論じたもの
  • M&Aの啓蒙に資するもので、業界全体への影響力が高いと判断されるもの

などが主な基準で審査が行われた。

M&Aフォーラムの懸賞論文
第16回M&Aフォーラム賞 募集要項

M&Aフォーラムは、わが国のM&Aの普及・啓発、人材や市場の育成を目的とした活動を展開しております。
M&Aフォーラムでは、この活動の一環としてM&Aに関する法律・経済・経営・会計・税務・社会・文化等さまざまな観点からの優れた著作、研究論文を表彰する『M&Aフォーラム賞』を設けております。皆様の積極的なご応募をお待ちしております。
選考委員会は、M&Aに関するさまざまな分野の主導的な研究者や実務者の第一人者で構成されます。

応募資格、条件など

  • 資格
    学識経験者、行政担当者、M&A専門家、企業関係者(実業界)、大学院・大学・各種専門学校を含めた学生等、幅広い分野の方々からの応募を受け付けます。
    個人のほか、学校やゼミナールなどの団体、グループでも応募ができます。
  • テーマ
    M&Aに関わる著書、研究論文(M&Aと法律・経済・経営・会計・税務・社会・文化等との関係について論じたもの)で、理論的・実証的・実務的な分析を論じたものとします。
  • 応募資格
    日本語で書かれたもので、原則として2021年4月から2022年3月までに発表された作品(著書、論文)で、経済専門誌、総合雑誌、各種機関誌等に掲載された論文も可とします。
    また、大学院、大学、各種専門学校を含めた学生の方々につきましては、修士論文、博士論文、卒業論文も対象に加えます。
    対象となる著書および論文いずれも、執筆者ご自身の応募による作品に限定いたします。
  • 応募方法
    • 応募用紙を下記よりダウンロードし、必要事項をご記入ください。
    • 作品要旨 (1,000字程度、様式自由)を作成し、1.の「応募用紙」とあわせて下記メールアドレスまでお送りください。
      (その際はPDF形式でお送りください)
    • 応募作品を2部ご用意いただき、メールでお送りいただいた応募用紙と作品要旨を添付の上、下記宛先までご郵送ください。

      <送付先>
      〒102-0083
      東京都千代田区麹町4-1-1 麹町ダイヤモンドビル9F
      株式会社レコフデータ M&Aフォーラム賞係
      TEL:03-3221-4942
      Mail:maprize@maforum.jp

  • 期 間
    応募期間は2022年4月30日までとし、当日の消印も有効といたします。
  • 発 表
    入選者には2022年9月上旬を目途に本人宛に通知するとともに、M&Aフォーラムのホームページ(https://maforum.jp/)にて発表を行います(入選者のみに通知します)。
    入選者の表彰および賞の贈呈は2022年10月上旬を予定しております。

審査、選考について

  • 応募書類、応募書籍・論文は選考委員会で審査を行います。
  • 選考委員会は、M&Aに関するさまざまな分野の主導的な研究者や実務者の第一人者で構成されます。

<第16回選考委員会(敬称略)>

  • 選考委員長
    岩田 一政(日本経済研究センター 理事長)
  • 選考委員
    大杉 謙一(中央大学法科大学院教授)
    西山 茂 (早稲田大学ビジネススクール教授)
    丹羽 昇一(株式会社レコフデータ 専務理事)
  • 応募作品および選考過程に関するお問合せには応じられません。

4.表彰

  • M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』 1篇 賞状・副賞50万円
  • M&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』 1篇 賞状・副賞10万円
  • M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞『RECOF特別賞』(社会人を含む学生対象) 1篇 賞状・副賞10万円

M&Aフォーラム賞についてのお問合せ

運営 株式会社レコフデータ
住所 〒101-0041
東京都千代田区神田須田町1-9 神田須田町プレイス2階
TEL 03-6371-1210
MAIL maprize@maforum.jp